皆さんは「全国青年農業者会議」というものをご存知でしょうか?
これは、“日本農業の担い手として、農業や農村生活環境の改善等を実践している若者たちが、体験した成果をお互いに発表しあい、当面する問題の解決方法や発展方向を見出だすとともに、農業を取り巻く諸問題を討議して、新しい農業及び農村の創造に資することをねらいとして開催する”
という大会で、今年で第56回という歴史のあるイベントです。
このイベントは北海道でも開催され、栗山町の若手農家さん達が集まる『栗山町4Hクラブ』もエントリーしました。
結果はどうだったか?
空知ブロックを勝ち上がり、全道大会に出場、先日行われた全道大会にてなんと最優秀賞!しかも2部門!史上初の栗山から2名全国大会に出場することになった訳です。
今回はこの快挙を成し遂げた栗山町4Hクラブ会長の井澤孝宏さんと同クラブ会計の吉田尚樹さんにお話を伺いました!
―最優秀賞おめでとうございます!
二人 ありがとうございます!
―まずは簡単に自己紹介をして頂けますでしょうか?
井澤 はい。栗山町で農家をしています井澤孝宏28歳です。たまねぎやかぼちゃ、花苗を栽培しています。
吉田 吉田尚樹28歳です。私はたまねぎを14品種、少しスイートコーンも栽培しています。
―ありがとうございます。お2人は幼馴染と聞きましたがいくつからの仲なのですか?
井澤 3歳?いやもっとか?
吉田 保育所から一緒だよね。でも赤ちゃんのときから一緒だったのかも?物心ついたときにはいたよね(笑)
井澤 うん。一緒だった。
吉田 角田保育所→角田小学校→栗山中学校、中学校まではずっと一緒でしたね。
井澤 登下校も一緒だったね。
―おうちも近いのですか?
井澤 1キロくらいしか離れてないですね。畑も隣です。
吉田 お互い家の窓から見えるもんね。障害物がなにもないし。
―本当にずっと一緒だったんですね。お2人は子供の頃から農家を継ぐんだ!って思っていたのですか?
井澤 僕は年長さんくらいのときには農家やりたいなと思ってましたね。でも卒業文集には「ガンダムになりたい」って書いてました(笑)
吉田 僕は全然そんなつもりありませんでした。次男ですしね。兄も農業高校に行ってましたし、わりとフラフラとしてましたね。何もなければ公務員になるつもりでした。
―それでは今回の受賞のことについてお伺いしますね。そもそも今回エントリーされている「栗山町4Hクラブ」ってどのような組織なんですか?
井澤 簡単に言うと若手農業者の団体ですね。
―お2人とも4Hに入られて長いんですか?
井澤 僕は10年です。高校卒業してすぐ入りましたから。
吉田 僕は4年です。
―栗山町4Hクラブ自体はどのくらい歴史があるんですか?
井澤 僕が今56代会長なので56年ですね。
吉田 日本の4Hクラブ自体が今年で60年だから、ほぼ同じくらいですよね。「4H」という仕組みが日本に導入された頃から栗山町4Hクラブはあるんですよね。
―「4H」ってなんでしたっけ?
吉田 よっしゃ言ってやれ。
井澤 4つのHの頭文字でhead、hand、heart、healthの4つのHの「4H」です。
―この4Hクラブに栗山の若手農家はみんな入っているのですか?
井澤 9割くらいは入ってますね。今は全部で24名います。
吉田 栗山は加盟率高いよね。
井澤 これだけ活動が活発な4Hも珍しいと思います。
ーそういう活動が今回の受賞に繋がっているのでしょうね。井澤さんはどのような発表をされたんですか?
井澤 僕はプロジェクト発表地域活動部門という枠で、10年間続けている食育活動、そこから生まれてきたゆるキャラ「くりどん」を活用したPR活動といった発表です。「栗産栗消」と言って栗山で採れたものを栗山で消費しようという活動から食育がはじまりまして、それが10年間続いてきたという感じですね。
―奇しくも井澤さんが加わった10年前からの活動なんですね。
井澤 そういう感じになりますね。
吉田 井澤孝宏にしか出来ない発表でしたね。
―吉田さんはアグリメッセージ部門ということですけどこれはどういうものなんでしょうか?
吉田 これは農家版青年の主張です。自分の経験や感じていることを発表しました。ざっくりいうと、大学に入学したときに自己紹介で栗山町っていう出身地がまったく通じなかったということがありまして、それが悔しくてSNSに栗山町のこととか玉ねぎ農家のこととかを書いていったんですよね。そのうち栗山町のことを覚えてもらったり、玉ねぎ欲しいといってもらったりするようになっていったんです。そうした中で、自分の発信した情報やストーリーが他人の食味にまで、味の好みにまで影響できるんじゃないかって大学生の頃に考えたんです。食べ物それ自体に加えて知識や情報、ストーリーを伝えることでより食べ物で感動できるんじゃないかと思うんです。そんな思いを持ちながら就農したのでFacebookを運営したりオリジナルのパンフレットを作ったり、品種別の玉ねぎの差別化をしたりと玉ねぎの情報発信に取り組みました。私の目標は『玉ねぎを食べた人に感動の涙を流してもらう』ってことなんですよね。ということを話したら評価してもらえたようです。
―発表内容を考えるうえで大変だったこととかありましたか?
井澤 10年間の発表なので、今までやってきたこが多すぎるのでまとめるのが大変でしたね。10年間でやったことを書き出していったら10分じゃ収まらないぞと(笑)とはいえ上の大会にいくためにはもう少し必要な要素があったので更に今年度「くりどんの顔ㇵメパネル」を作ったり、ランチョンマットを子供達にあげるために手作りで夜中まで作ったりとか結構大変でしたね。
吉田 大変だったけど良い経験だったよね。
―吉田さんはどうです?
吉田 発表が7分なんで短いですよね。時間内に収めようとすると早口になってしまったりするので、練習しましたね。1人カラオケで。スリラーカラオケ行きましたね(笑)練習は繰り返しやりました。内容も他の人と同じようなことを話しても埋もれてしまうので、印象に残るフレーズを考えたり、どこで強弱つけるかとか、気を付けましたね。
井澤 他の発表者とは切り口が違いましたよ。型にはまっていなかったです。
―最優秀賞を告げられたときはどんな気持ちでしたか?
吉田 本当に取っちゃったよって感じでしたね。春先からこの2人で取り組んできて、ずっと「後輩連れて全国行こう」って話してたんで、すごく嬉しかったですね。表彰式で賞状もらうときは少し目頭が熱くなりました。
―井澤さんはどうでした?
井澤 本当にドキドキして祈りながら待っていたので、呼ばれたときは泣きそうなくらい嬉しかったです。後輩を全国に連れていくって約束してたんで全国決まってホッとしましたね。全道大会はすごい緊張したので結構噛んじゃったんですよね、そんな中だったんで本当嬉しかったです。後輩も喜んでくれてました。僕一人で獲ったんじゃなくて栗山町4Hクラブ全体で取った賞なので先輩たちの思いとかも込みの受賞なので終始泣きそうでした。
―掛けられて嬉しかった言葉はありましたか?
井澤 先輩方に「後輩をたくさん全国に連れて行ってやれ。お金は俺たちが出すから心配しなくていい。」と言ってもらえたのは嬉しかったですね。
―これから全国大会ですけれども今のお気持ちはどんな感じですか?
井澤 全道で最優秀賞取ったからには全国でも取りたいなと。もうちょっと磨き上げて全国のトップを取りたいと思っています。そこでも二部門同時に取りたいですね。
―緊張は大丈夫ですか?
井澤 相当緊張すると思います(笑)空気感がこれまでと別のものになるのでそこをどうクリアするかですね。
吉田 僕は楽しみですね。ワクワクしてます。全国用に原稿も少し変えましたし、早く発表したいですね。
―最後に読んでくれた人にメッセージをお願いします。
吉田 僕の発表の中にも栗山って単語は7~8回出てくるんですよね、玉ねぎって単語はもっと出てきて。これから食材を買うときに栗山の玉ねぎを意識してもらえたら嬉しいですね。
―吉田さんの玉ねぎをどこかで食べることは出来るのですか?
吉田 直販はやってないんです。なので栗山町内の飲食店で食べてください。「かくや」さん「ツモロー」さん「とんとん亭」さんなどで食べることが出来ます。あと実は某有名ハンバーガーチェーンでも使ってもらってます。
―井澤さんはどうですか?
井澤 栗山町は多様な野菜を栽培しているので栗山町の色んな野菜を食べてもらいたいですね。栗山町4Hクラブの活動にも注目して頂ければと思います。
―井澤さんの野菜はどこかで買えますか?
井澤 うち(井澤農園)で旬の野菜を販売してますので来てもらえればと思います。春には花もあります。是非、見に来てください。
―ありがとうございます。全国大会頑張ってください!
二人 ありがとうございます!
『くりおこ』は北海道栗山町地域おこし協力隊が運営しているWEBサイトです。